天才の時間、竹内薫、NTT出版、2008

天才の時間の内容を一言で、説明すると、"「天才とは、天賦の才ではなく、天が与えた時間をうまく使いこなす才能のことだ」と言うことを論じて"、いる本です。
一つの仕事に集中せざるを得ない時間があり、それを「休暇」「天才の時間」と読んでいるのだけれど、コトバの使い方には、少々違和感が残りました。また、「天才の時間」ばかりでなく、個々の「天才」たちの業績にも触れており、「天才の時間」に触れる点がわずかになってしまい、内容が広がり過ぎてしまっている感が否めません。
しかしながら、伝えようと意図している内容は、非常に興味深く、物理・哲学といった少々とっつきにくい分野をわかりやすく説明していると思います。

p40 君たちは今までの受験勉強で、答えが正しいか間違っているかだけだと信じているかもしれないが、世の中はそんなものではない。何事もイチかバチかに分けて考えるのは、単細胞のすることである。君たちは、まずそこから直さなくてはいけない」

p139 アプリオリな総合判断とは
カント、純粋理性批判入門
その人間が勝手に編み出した発明品を複雑に駆使した計算の結果が、地球とか月とか宇宙の運行になぜぴったり合ってしまうのだろうか・・・人間が、ある歴史的時点で編み出した算術や数学は、人間の頭の中にある知であるにすぎないはずなのに、それがなぜ宇宙という存在にぴったりあってしまうのだろうか。

p143 相対性理論も観測者によって世界の見え方が違ってきます。アインシュタイン相対性理論が受け入れられるのに時間がかかった理由は、世界は客観的に単独で存在しているだろうという思い込みが激しかったからです。そうではなくて、同じ世界であっても見る人(観測者)によって違う見え方になるのだ。というのがアインシュタインの言っていることです。

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