デジタルネイティブが世界を変える (ハードカバー)ドン・タプスコット (著), 栗原 潔 (翻訳) , 2009

デジタルネイティブが世界を変えるは、デジタルネイティブ―次代を変える若者たちの肖像 (生活人新書)デジタルネイティブの時代にと同様のテーマを扱う一連のDigital Native本の一つです。

この本でのデジタルネイティブの定義は、1977年1月以降に誕生としています。なぜ、デジタルネイティブを知ることが、今、重要なのか。それは、デジタルネイティブたちは、「両親とは全く違ったやり方で、学習し、遊び、対話し、働き、コミュニティを作って」おり、「人種的多様性に慣用であり、前の世代と比較しても賢く、俊敏である」世代であり、「この世代を理解すれば、未来を理解することができる。そして、現在の精度と社会がどのように変わっていくかも理解することができる」からといいます。デジタルネイティブは、変化を拒絶する既得権者、ベビーブーマ世代とは異なるタイプの年代であり、そのベビーブーマ世代から見ると、あまりにも違う行動を取るために、一般的に、落ち着きが無く、社会的スキルが無いなどと批判される傾向にあるといいます。しかしながら、その批判は、新しいタイプの年代だからこそ正しく理解されていないために起こることだと言うのです。

私がこの本を面白いと思ったのは、ベビーブーマ世代であるにもかかわらず、自身の子供の行動を見て、未来を感じられた著者の力量にあります。ゲームは良くない、マルチタスクは良くないと、既存の枠組みで言うのは簡単ですが、現代のデジタルネイティブ世代が、効率的に生活する方法が、そこにあるのだとすると、ゲームやマルチタスクを禁止するのは、効率を下げることにもなりかねません。私自身、わからないことがあれば、直ぐにSkypeMixiFacebookで知り合いに尋ね、Wikiで調べて、その上で、仕事や勉強を継続します。仕事中に、Skypeも、Facebookもonです。職場で、skype禁止などという話を聞くたびに、「上の人は、わかってない」と思うのは、私だけではないはずです。

ドン・タプスコットは、プライバシー問題以外は、デジタルネイティブを絶賛しているため、少々、気恥ずかしくなることもあるのですが、「ゲーマーは、認識能力に優れる、外科手術にも有効なスキルである(p150,151)」などと、豊富な事例を用いて、いかにネイティブ世代が優れているか、を解いてきます。すべてがすべてのデジタルネイティブ世代に当てはまるわけではないでしょうが、ベビーブーマ世代とデジタルネイティブ世代の「違い」を認識することは、重要なことは確かだとおもわれます。そのためにも、ぜひ、一読してもらいたい本です。