加藤恵津子、自分探しの移民たち、彩流社、2009

「自分探し」の移民たち―カナダ・バンクーバー、さまよう日本の若者は、友人に薦められて読むことにした本。海外生活の「明るい語り」に隠された「影」という帯の言葉に引かれて、読み始めたら止まらなくなった。海外で生活している人が誰しも感じる想いが、ここに描かれていると思う。私が住むデンマークも、カナダと状況は酷似している。恋人についてきた人、結婚で来た人、赴任できた人、ワーホリで来た人など理由は様々であるが、日本での家族や友人に語る生活と、現地生活の事実のギャップがある人は多いだろう。海外に憧れを感じている人、外国人の彼氏やパートナーがいる人、ワーホリに興味を持っている人には是非読んでもらいたい本である。

なぜこの本を薦めるか?

経済的に豊かな国日本から、海外に出て、現地社会のイメージと実際が違うと感じる日本人は沢山いるだろう。海外にいる自分が好き、日本に帰国したときに優越感を味わえるということで、海外での生活を継続する人も多い。素敵な海外生活、英語を話す私といった日本人心を刺激するイメージを利用する多くの留学情報誌やブログなどと異なり、海外生活、国際結婚の負の面も見せているという点で、非常に評価できる。

読後、結局は自分がどのように生きたいか、なのだろうなと、思わされた。海外で生活するという選択をした場合は、自分の毎日は年に1回訪れる日本にあるのではなく、海外にあるのだということを認識する必要があるだろう。その上で、自分の人生をどうしていきたいか考える必要がある。