澤渡 夏代ブラント,デンマークの子育て・人育ち,大月書店,2005.

デンマークの子育て・人育ち―「人が資源」の福祉社会は、今までにも紹介した各種デンマーク関連本の一つとして積み上げていた本。いわゆるデンマーク礼賛本の一つなのだけれど、読書後の後味が爽快なのは単に私の意識的なものだろうか。

興味深いと思った点

筆者は日本が海外渡航自由化を許可した1964年4月から数年後、海外旅行に旅立つ。千葉忠夫氏と同様のなりゆきで日本から出発しデンマークにたどり着いた夏代さんだが、この時代の日本若者の純粋で情熱にあふれた姿に、今更のように感銘を受ける。60年代当時の結婚前の同棲が当然であったこと、またそのほかのいくつかのデンマークの風習は、21世紀の今から見ても、躊躇してしまう点もある。非常に自由でかつ、よく考えた人だったのだと思わされる。

何よりも子供の育て方、子供に対する姿勢は、非常に参考になる。これは、今、国際結婚をする私たちでも文化のはざまで悩まされることが多いテーマといえる。夏代さんが言及する子育てに関する確固たる主義主張は、一昼夜のうちに醸成されたものではないだろうが、ひとつの道しるべとして、国際結婚をした人に一読をお薦めする。

最後に私が、特に興味深いと思った点について記録しておく。

一般的に国際結婚のカップルから誕生した子供をハーフと呼ぶことが多いが、私はダブルと呼びたい。