佐々木俊尚,グーグルGoogle,文集新書,2006.

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)は、偶然目に入って読むことにした本。作者があとがきでも述べているように、本書は、破壊者としてのGoogleを描き、さらに、「神」になろうとしている権力者Googleとして負の視点から描いています。新しい市場や秩序の創出を可能にするという前向きな視点も加えてはいるものの、恐ろしい存在Googleとしての姿を前面に出している印象です。はたして、Googleは、著者が書くように恐ろしい姿を隠した存在なのでしょうか、一読することは薦めますが、主張は負の面に偏っている感が否めません。

Google批判と反論

著者は、伝統的な企業のビジネスを破壊するものとしてGoogleを間接的に非難しています。
毎日新聞社記者である著者が、新聞社の方を持つのは非常に納得がいく点ですが、そもそも著者の主張する「伝統」は、「旧態依然」とも言い換えることができそうです。新しく出てきたメディアGoogleが新聞や既存のメディアを駆逐することになったとしたら、それは、理由があってそうなっているのでしょう。Googleの活動を阻止しようとする新聞各社の動きは、悪あがきに見えます。その悪あがきは、伝統と既存の収益構造や既得権に胡坐をかいていた旧態メディアの怠慢が、ようやく市民の目のつく場所まででてきたという印象を受けます。