佐藤可士和,佐藤可士和の超整理術,日本経済新聞社,2007.

最近、興味を持っている佐藤可士和関連本として佐藤可士和の超整理術読んでみました。超整理術というタイトルから一連の整理術関連本と同様な内容を予想していましたが、良い意味で完全に裏切られました。なぜかついている英語の題目Kashiwa Sato's ultimate method for reaching the essentialsの方が内容をよく表現しています。佐藤可士和に興味がある人、デザイン全般に関心がある人、情報デザインに関心がある人、広告に興味がある人は必読であり、毎日の仕事に壁を感じている人にもお勧めです。まずは、机を使いやすく片づけていくところから始めてみよう、と行動に移りやすい点も高評価です。

..整理というのは、価値観を変えてしまうほどものすごい力を秘めているのです。...ここで語る整理とは、巷にあふれるこまごました生活の知恵ではありません。伝えたいことを明確にするという、コミュニケーションの本質に迫るアプローチなのです。p38

佐藤可士和の整理術の極意

佐藤可士和氏は、本書佐藤可士和の超整理術の中で、自身の整理術の極意を披露していますが、佐藤可士和氏の整理術が素晴らしいのは、それぞれの極意が、どうやら、経験によって培われた知恵であるため、一つ一つの経験が具体的なケーススタディと密接に関係しており、読み手がプロセスをイメージしやすいのです。すべてを紹介するわけにはいかないので、ぜひ、佐藤可士和の超整理術を手に取ってみてください。

本質をとらえなければいい結果はうみだせない

ひとつだけどうしても紹介したいコトバがあります。それは、デザインをする者の心構えとして、本質をとらえる重要性を述べたもの。佐藤可士和氏は、自己満足なクールなデザインではなく、事実をどうわかるように表現できるかということが大切だと言っているのです。

...休日に家族で過ごすということが、ポジティブな感覚ではなかった時代です。決してかっこいいイメージとはいえず、...。こんな時、以前なら自分のエゴでイメージを膨らませていたことでしょう。スタイリッシュな新しいファミリー像を無理やり作り上げ、ユーザーに押し付けていたかも入れません。ですが、ここで冷静になって考えてみました。個人的な志向はおいておいて、この車が持っている本質的な価値に対して素直に向き合ってみようと。家族みんなでどこかへ出かけることは本当はとても幸せなことで、それがすごく素敵に見えるように表現してあげればよいのではないかと考えたのです。p33


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