高橋絵里香, 青い光が見えたから, 講談社, 2007.

青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記は、フィンランド関連本を探していて見つけたもの。大学生、大学卒業生が、国に関心があったからフィンランド(北欧)に来た、というケースはちらほら耳にするが、さすがに16歳でフィンランドの高校に正規留学してしまったというのは、珍しい。近年注目の教育大国フィンランドの姿が、16歳のエリカの視点から語られているのが興味深い。

この本を薦める理由

教育の方法がこれほどまでに異ることで、子供の意識もまったく異なっていく状況がよく描かれている。私を含め、すべての日本人が日本の教育の弊害を感じていた訳ではないだろうが、そもそもの枠組みや教育の捉え方が、フィンランドと異なることは確かで、その対比が一人の学生の目を通して語られるのは、興味深い。日本に住んでいたら、こんな世界があるのか?と思ってしまいがちだろうが、デンマークに数年住んでいることで、その印象は変わっているようだ。フィンランドの(デンマークも)教育は非常に効率的で、だからこそ、うまく機能している。

「青い」イメージは抜けないものの、それでも補って余りある興味深い体験記。フィンランドや教育に関心のある人にはぜひとも手に取ってもらいたい。

タイトルの青い光。デンマークの田舎でも年に数回味わえるが、フィンランドの北の方では、もっと日常的に味わえるものなんだろう。