村上龍. 人生における成功者の定義と条件.NHK出版. 2004.

人生の区切りを迎え、これからどうしようかと考えていた時に、本棚に積まれて読まれてなかった本書人生における成功者の定義と条件を発見。人生の方向性を定めたい人、見失いかけている人に是非読んでもらいたい本書。

まず初めに「13歳のハローワーク」を執筆した時から考えていたという村上氏の人生の成功者の定義「生活費と充実感を保証する仕事を持ち、かつ信頼できる小さな共同体を持っている人」は、自分の定義にもしようと思えるぐらい納得のいくものだった。今まで数十年生きてきて、毎日を安心して過ごせること(それなりの収入があること)、ばかりでなく、社会的に繋がっていることの必要性を強く感じていた。

何名かの著名な人たちとの対談形式で書かれている本書の中で気になったところをメモがわりに記載しておく。明日から、また自分の能力を伸ばすために毎日頑張ろう、自分も決断をつけるために必死で自分を活かせることを探そうという気になる良い本だった。

利根川進さん

ただこれからまだ生きていかないといけないので、自分を活かせるだけの興味があるものは何かと考えていたんだけど、なかなか決断がつかなかった。そこでいろいろ考えたり、人の話を聞いたりしていました。p.90

つまり人間はなんでもやりたい。それから失敗したくない。リスクを負いたくない。...選んだつもりでも他のことを考えてしまう。僕からみると、やはりエネルギーを分散している人は多いですよ。他のことを捨てきれない。p.94-95

ある目標があって、そこへ向かって一生懸命努力している時に、人間はハッピーに感じるんです。それで目標に到達しちゃうと、もうハッピーじゃないんですよ。次の目標が必要になってくる。p.212

カルロスゴーン:「カルロス・ゴーン経営を語る (日経ビジネス人文庫)」を執筆。この書籍を皮切りに質問をしている。

...(人生において成功するために備えていなければならないのはどのようなことかという問いに対して、目的と障壁に驚かないこと、そして第三に)人生の見方です。例えば人生をただ単に楽しみとしてとらえるか、生涯の学首位であると捉えるかによって、アプローチが違ってきます。仮に生涯の学習だと捉えた場合、どんなに最低の失敗を犯しても、それを克服することができます。p.154

猪口邦子

今は、自分が与えられた職業、あるいは将来追求したい職業との関係において、ものすごく努力をしなければならない時代だと思うんです。努力ができるたちが煮立った人というのは、まれなるリスクをクリアしてそこにいるのです。つまり、18歳の人には、同時期にオギャーと生まれた子供のうち、もうどれほどの人がなくなってしまっているかを考えてもらいたいということです。字を知っている人がどれくらいなのかを考えて欲しい。そう考えると、自分のジアkんというのがいかに貴重で、能力も最大限に高めないといけないということがわかるはずです。グローバリゼーションの時代だから競争が厳しいと言われていますが、競争に立ち向かうという観点からだけでなく、自分が得たチャンスに対して正義をなすというのかな、そのチャンスを得られなかった人のためにも正義をなすために、能力を高めないといけない。p.215-215

ちなみに、新 13歳のハローワークも出版されている。

6年前にも一度読んで感想を書いている。村上龍,人生における成功者の定義と条件,日本放送出版協会,2004. - ishizukimika’s diary。見る視点が違っていて、自分でも面白い。