森巣博,越境者的ニッポン, 講談社現代新書,2009.

越境者的ニッポン (講談社現代新書)は,森巣氏の社会の見方,日本批判に関心があったことから,読んでみたもの.2009年に出版されたものだが,自分自身でもおかしい...?と思っていた点などを,その理由を含め明確に述べています.

教育とはどうあるべきか.また,現在の日本のメディアのふがいなさについて.メディアは,正義のメディアの名をかたった集団リンチを行っている....本当に,日本のメディアが第三の権力になるのは、いつのことなんだろう.

ある年齢をすぎると,絶対的知識量が不足している子どもたちは,全体主義者となる。他の子どもがやることをやりたがり,....放っておけば全体主義社となってしまう子どもたちを,言葉は悪いかもしれないが,社会を社会足らしめたる論理で少しずつ「矯正」していくのが,教育の重大な役割の一つではなかろうか,と私は考える.ところが異質な者,異物たちを排除することによって,「純な社会」の構築を目指す人たちも,また存在する.ごくごく簡単で大胆な私の分類法を用いれば,前者が多元主義と呼ばれる立場で,後者が原理主義と呼ばれる立場である....多元主義の立場では,足が二本未満の人の存在を受け入れる.ただしこれは「寛容」するのではなくて「認知」する...だれだって他人から自分のことを「寛容」なんかされたくない.(p61)

学校教育の目的のひとつは,明らかに生徒に"Self Esteem"を持たせることだ, ...(p62)

世間を怖がってはいけませんよ.常識って,多数者が持つ偏見のことです.自分の信念に忠実でありなさい.そして一度始めたら,簡単に引き下がっちゃいけませんよ.そう教えるのが教育であり,身をもってそれを示すのが,理想の教師像だと私なら考える...(p74)