小林 弘人, ウェブとはすなわち現実世界の未来図である (PHP新書), PHP研究所, 2014.

ウェブとはすなわち現実世界の未来図である (PHP新書)は、仕事上の知りあいから勧められて購入してみたもの。

「現実世界のほうがウェブで培われた思考様式、心理状態をコピーしていく」として、今後、ウェブ的な思考法・視座が必要となると説く。今の世界では、旧来の世界にはなかった迅速かつ柔軟な対応、また創造的思考が不可欠であり、それを進めるには、「ウェブ的な思考法・視座が必要となる」ということらしい。また、「人間中心主義」がその世界では重要な視点となるとする。

扱われている内容は、個人的には、あまり新しい視点という訳ではなく、特に、「ウェブ的な思考法・視座」、や「素敵に」など、使われている言葉には、違和感を感じるものが少なくなくて、読みながらなんか違うんじゃないかなとモゾモゾする感じが、ずっと消えなかった。

「ウェブ的な思考法・視座」= 新しいアイディアが生まれてから実現するまでの速度と可能性を殺さず、いかにそれを大きく育てるかという方法論やものの見方

ただ、自分が今まで言ってもなかなか「サービスの中心をテクノロジーではなく人間から捉える」とか、「創造性の必要性」とか、「共創の必要性」とか、「枠を外れる思考」など、腑に落ちて感じてくれなかった方が、この書籍を読んで、理解出来ました!とのコメントともに、示唆に富んだ意見を下さったので、それなりのグループの人たちには、新たな視点を提供するものなのだろう。

どのあたりがお薦めか?

1.今の状況が問題であるということを明確に指摘している。特に「上司説得型マーケティング」という言葉で示されている現在のメーカを代表とした日本企業の問題点が明らかにされている。

(「上司説得型マーケティング」とは)つまり、決断すべき上司が決断しない。なぜなら責任をとりたくないからだ。だから、「お前の企画は市場が見えない。あるかもしれないが、いまはみえない。いま売れ筋のアイディアをもってこい」となる。そう直言しなくとも、その態度を受けて部下は他社のヒット商品に似たアイディアを出すことを余儀なくされ、モチベーションも低下するとという負のスパイラルに突入する。隠して横並びの製品やサービスが商戦にあわせて繰り返し、市場に投入されるのだ。

2. 特に、ウェブに詳しくない人、現在のGoogleの動向に詳しくない人にもわかりやすく、これから世界市場で企業が生き延びるために必要な視点が示されている、...ようだ。