落合陽一, 日本進化論, SB Creative, 2019.

落合陽一さんを数ヶ月前に初めて知った。たまたま読んだ対談に関心を持ったのがきっかけだったが、その対談で語られていた「縮小する社会」(←あ、もうそのセリフを公メディアで言っていいんだ!)に関心を持ち、未来図を描いているという本書日本進化論を読んでみることにした。

提唱している『ポリテック』という言葉は、正直何を示しているのかすぐには分からず意味を理解するのに時間がかかる。けれども、テクノロジーでどのように今の社会課題に取り組めるかを考えることが重要であるという点は大いに賛成するところ。議論されている多くの項目はよく見知った課題であったし、解決策も見知ったものが多いように感じた。ただ、より一般に周知していくこと、わかりやすく噛み砕いて統計などを示しながら伝えていくことの重要性は軽視されるべきではない。

興味深かったのが、第6章の「今後のスポーツの役割」。スポーツを国として考える必要があると考えたことがなかったから目から鱗だった。改めて、よりよい生活や人生を送るための運動の効用や互助的なコミュニティに所属することの大切さを考えさせられた。 

コンセプトなどは、もっとぶっ飛んだ考え方が提唱されるのかなと思っていたから、ある意味拍子抜けもあったのだけれども、「”一人暮らし禁止法”」はとても良い考えかも。特に若い大学生が親元離れて急に一人暮らしを始めるのはよくないと常々考えていたから。

運動は、ストレスの解消、コミュニティの形成、予防医学的効果がある。(p.203)

継続的な運動の習慣は、ストレス耐性を高め、精神の安定に役立つ。適応障害、鬱、神経症の予防などにも効果があるとされるほか、不規則な生活によって、自律神経のバランスが失われている場合も適度な運動によって、回復の効果が見込めます。

困ったときに頼れる人がいる。つまり自分は互助的なコミュニティに所属しているという感覚が重要。

年配の方は友達と話がしたいがために大した病気でなくても病院に行きたがる。

ルール設計は人々の行動を大きく変えます。

さらに思い切った提案をすれば、もはや一人で過ごすことを法律で規制してしまった方が話が早いのかもしれません。”一人暮らし禁止法”を制定し、全国民に寮生活を送らせるのです。もちろん、集団生活によるストレスなどデメリットが生じることは十分に想定できます。しかし、「帰る場所がある」ことは、それを補って余りあるメリットを生み出してくれるのではないでしょうか。(p. 221)