山田登世子、贅沢の条件、岩波新書、2009

贅沢の条件 (岩波新書)は、雑誌の書評を見て購入したのだが、少々期待はずれだった。「贅沢」というコトバから、私は何を知ることができると期待したのだろうか。確実な回答などあるはずの無いテーマに、明確な答えを期待したのがよくなったのだろうか。贅沢とはというテーマで語ると個人的な視点が入らざるを得ない。筆者の「贅沢」論には、賛成する点も多々あり今後の自分の生き方を考える上で参考になった点もある(後述)が、筆者自身の「贅沢論」は一定せず、引用もあいまいで、読後もやもや感が後々まで消えない。貧しくても優雅であることで贅沢といえると言いつつも、結局、この作者は「ココ・シャネル」と「白洲正子」が好きで、彼女らの生き方に「贅沢」を見出しているのだということしか記憶に残らない。

ただ、彼女の言う「贅沢」にまつわる、小話は非常に興味深く、ブランド品の誕生秘話やシャネルが修道院育ちであった、死ぬまで規則正しい生活をすごしていたことなど知らないことが多く、改めて調べてみたいと思ったネタが沢山あった。