永井紗耶子, 横濱王, 小学館, 2015.

横濱王は、大好きな作家の小説、以前にも読んだ帝都東京家族少女の作家ということで手に取ってみた。

時代小説といっても近代の話はそれほど読んだことがなかったのだけれども、今の歴史に大きく繋がるということ、また独特な国際化が進んでいた時代ということで、この昭和初期は、最近特に関心のある時代でもある。

読んだ結果?

静かに熱い原三溪という人に惚れた。この原三溪という人がどのような経緯で、懐の大きな人に育ったのだろうか。

筆者には、語り手である瀬田や原にフォーカスして深みを加えてもらってもう一筆...お願いしたい。

どのあたりがオススメか?

1. 歴史を知るということ。そして、昭和初期の時代に、国際的な視点を持った日本人がいたということ。そのような背景を知ることで、自分に脈々と繋がる歴史が目に見えてわかり、自信を持って今の国際社会に立つことができるようになるのだと思う。

2. 今の時代にも繋がる土地の名前、商店やレストランの名前が出てきて、横濱が愛おしく感じられた。近いうちに横浜に行って、中華のお店や菊屋さんに行ってみたいものだ。

3. 横濱だけではなくて、どの場所にも言えることがある。それは、街が破壊されても、その精神は破壊されないということ。破壊させてはいけないということ。街はまた復興できるから。←帯に書かれている「己の王でありなさい」よりも感動した。