Pope Joan, 2009

大司教ジョアンPope Joan (Ioannes Anglicus; 855–857) は、9世紀のキリスト教祭司で、女性であることを隠し大司教として活躍した伝説の人物だ。ちょっとしたラブストーリも折り込まれ、司教の服を脱ぎ湖で泳ぐシーンなどもとても綺麗だった。何度か映画化されているみたいだが、私が見たのは2009年のもの。

女性が大司教になるというプロットだけでも興味深いと思ったのだが、9世紀の村の生活、街の様子、そしてキリスト社会の様子が細部にわたり生々しく描写されていて、いつの間にか物語の中に引き込まれて行った。

 

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 冒頭は、村のある家族の描写で始まる。家長である父が母を家の中で虐待(というかレイプだ...)されている様子、その様子を見ないように夜にもかかわらず兄が弟とジョアンを連れて外に出てしばらく時間を潰す。幼い頃から、優秀な頭脳の片鱗を見せ始めたジョアンだが、父親は認めようとしない。ジョアンの優秀な頭脳は街で評判になり領主(?)からお呼びがかかるが、父親は娘を女だということで認めず、少々気が弱く頭の回転も遅い息子を代わりに出世させようと代わりに送り込む...。

女性が曲がりなりにも社会でのポジションを得て、認知されるようになったのは、実は本当に最近なのかもしれないと改めて考えらさせられた。意図的ではなかったとはいえ、女性であるジョアンが男性のふりをして、修道士の中でどう生きて行けるんだろうか、大きな謎だったけれども...、9世紀であれば、そして修道士でたまに籠ることができたり(月に1度は籠る必要があったから)、あのローブに隠されていれば、意外といけるのかもしれない。